実験レポート #002 仮想検証(実売買なし)
実験レポート#002: ファンディングレート裁定、安定するが投資信託に届かない
手法のしくみ
無期限先物には、現物価格との乖離を戻すために「資金調達率(ファンディングレート)」を定期的にやり取りする仕組みがある。ロングが多数派の局面では、ロング側がショート側へ調達率を支払う。ここで現物買い+先物売りを同額持てば、価格変動は相殺され(デルタニュートラル)、調達率だけを受け取り続けられる——というのがこの裁定の狙いだ。
検証方法
OKX の BTC/ETH 無期限先物について、過去約92日分・277回(8時間ごと)の資金調達率の実績を集計した。元手1万円は現物5,000円+証拠金5,000円に分け、レバレッジは1倍。往復の取引手数料(元手の約0.15%)も差し引いて手取りを計算した。
結果
| 銘柄 | 平均調達率(8時間) | プラス回 | 手数料後の年率 | 1万円・90日の手取り |
|---|---|---|---|---|
| BTC | +0.0056% | 92% | +2.47% | 約 +61円 |
| ETH | — | — | +1.87% | 約 +46円 |
BTCは想定元本ベースでは年率 +6.17% に見えるが、元手は「現物+証拠金」に分かれるため、元手総額ベースでは +3.08%、手数料を引くと +2.47% まで下がる。この「見かけの年率」と「元手ベースの年率」の違いが、この手法を語るときにいちばん誤解されやすい点だ。
判定: 安定しているが、投資信託に届かない。9割方プラスという安定性は随一。ただし年率約2.5%は投資信託の長期期待値(年5〜7%程度)を下回り、「上振れ」を狙う目的には合わない。
実務上の制約と、似て非なるもの
海外大手の無期限先物は日本居住者の利用可否や規約の問題があり、今回の検証環境からも一部取引所(Binance先物など)は取得自体ができなかった。「合法・規約内」で国内から使える場所が限られる点も、この手法の現実味を下げる。
参考までに、FXのスワップポイント取りも似た構図だ。ドル円ロングのスワップ収入は年率ざっくり +3%程度が目安だが、ドル円は直近3年でピークから最大 −12.5% の下落局面があり、1回の逆行で約4年分のスワップが消える計算になる。あれは価格変動を相殺していないので裁定ではなく、方向リスクを取るキャリー取引だ。
ほかの実験レポート
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本記事は実験記録であり、投資助言ではありません。数値はすべて公開データによる仮想検証の実測値です。